08 September
青木湖
ふとした拍子に、数十年前に2度の夏と冬を過ごした青木湖畔の小屋を思い出した。google mapの航空写真
で探してみると、何だかそれらしいものが木々の間に・・・。
半信半疑だったが、取り合えず訪ねてみることにした。
車だったので、何度か立ち寄ったことのある上田の
「みすゞ飴(飯島商店)」経由で青木湖を目指した。
上田駅前の景観はだいぶ変わってしまっていたが「みす
ゞ飴(飯島商店)」の建物は、もとより店舗内の様子も
心配りのあるサービスも以前のままだった。
登録有形文化財の標識が付いていたが、これの有る無し
に関わらず1924年につくられた擬洋風の木造建築は、
上田駅前の景観に歴史の厚みを付与していることが誰の
目にも明らかだった。建物も商品も接客も上質で、しか
も過剰でないところがとてもいい感じなのだ。
青木湖に到着、湖畔の建物の殆どは建替えられてしまっ
ていたが、青木湖西岸沿いの旧千国街道(塩の道)は
ほぼそのままの形で、通り沿いにそのまま残った倉庫や
以前の場所に元の形のまま建替えられた建物ものもあり
記憶は直ぐ蘇った。
湖畔のキャンプ場などはきれいに整備され以前より遥か
に気持ちよい空間となっていた。
探していた小屋は、水神「水波之女命」を祀る「水神社」
鳥居まであと10歩という辺りの左側に在ったのだが・・・。
残念ながらそこには樹木に囲まれた小さな空き地が残さ
れているだけであった。
5人のメンバーによって創られた小屋は、「モンステル」
と呼ばれていた。5人のメンバーの内の2人が物理学者で、
アインシュタインの何かに因んで名付けたと聞いていたが、
アインシュタインの何に因んで名付けたかは、忘れてしま
った。
「モンステル」は小さな建築ではあったが、ここでの出来
事と結びついて、戸袋の中のリスの巣や、キツツキに明け
られた外壁の竪羽目の板の様子までもが、僕の脳裏に蘇った。
31 May
歴史的街並探訪
1年ぶりのブログ更新です。昨年に続き、歴史的街並探訪となりました。中山道(木曽路)の奈良井宿・妻籠
宿・馬籠宿、そして156号線で美濃・郡上八幡を経由し
高山に廻り、高山から白川郷・五箇山を経由して金沢に
というルートを想定しました。が、しかしそこは日頃の
不摂生と初日があまりにハードだったので、ルートは変
えず白川郷・五箇山はパスという結果になりました。
これらの地区は、重要伝統的建造物保存地区として文化
財保護法に基づき国が選定した地区でもあります。
(平成25年12月27日現在,重要伝統的建造物群保存地
区は,86市町村で106地区)
これらは「保存地区」なので単体の歴史的な建築物が静
的(歴史資料的)に保存され、それを前提に観察される
というケースとは異なります。そこは現実の生活の舞台
であり、生活も物理的環境も閉じられていません。周り
の世界へと連続しているのです。
したがって、それぞれの地区は置かれた環境(立地)に
よってその表情が異なって見えます。
奈良井宿は塩尻から19号線(中山道)を車で35分程度
のところにあります。奈良井川に沿って約1Kmの江戸時
代を思わせる街並が形成されています。
奈良井川から見る奈良井宿(今日的な表情が見える)
妻籠宿は日本の歴史的街並保存の先駆となったところで、
「売らない・貸さない・壊さない」という三原則をつく
り徹底した江戸期の街並の保存が行われているところで
す。また、周囲を山々に囲まれ遠景まで含め独立した景
観を保持しています。観光客とお土産屋を除けば「現在」
は殆ど見えないと言って良いと思います。
街並と郵便配達車
今風の店舗
馬籠は妻籠から約8.5Kmの距離にある中山道43番目の宿
場です。大正時代に多くの部分が火災で失われ、その後
復元され今日の姿になっています。
片勾配の尾根にある旧中山道に沿って形成された街並(
集落)なので、登るにしろ下るにしろ豊かなビスタの変
化を体験出来ます。一方、道路の舗装には「やり過ぎ感」
があり、こうした場所にありがちなテーマパーク的な雰
囲気を少々感じるところがありました。
美濃市、美濃和紙とうだつの上がる街並で有名ですね。
美濃和紙は昔、模型飛行機の翼に貼っていた記憶があり
懐かしかった。前記の三つの街並(集落)より人口も多
く町も大きい。当然、歴史的街並の周りに今日の建築が
形成している街並も大きく広がっています。
奈良井宿・妻籠宿・馬籠宿が殆ど丸ごと歴史的街並で、
かつ周りの環境も含めて纏まりのある景観を作り出して
いるのと比較すると、「歴史的街並」を取り込んで町全
体の魅力を高めていくのにはまだ時間がかかるのではな
いかと感じました。
ゆるキャラもいました
過去と現在のバッティング
郡上八幡は歴史的街並とともに、市街地中央を流れる吉
田川(長良川の上流)、町中の水路を生活文化に取込んだ
水の町としても知られている。そして町の位置や歴史、規
模(人口約44,000人)に依るところが大きいのかも知れ
ないが、時間(歴史)がゆっくりと町の表情に定着してき
ているように思えた。したがって、観光客は多いのだが
(ごく一部を除き)テーマパーク感はなく、生活文化に支
えられた町の表情を感じることが出来ました。
吉田川
これインパクトあった
10 April
2013-花見
ここ何年か、この季節になると花見を兼ねて金沢に行くようになった。
歴史的な建物と新しい建物が程よく混在していて、歩い
て楽しい。
食べ物もおいしくて、地場の食材(魚介類・伝統野菜な
ど)も豊富で料理に季節感がある。しかも伝統的な料理
ばかリでなく新しいタイプの料理を出す飲食店も多い。
それから、僕は花見団子くらいしか食べないのだが、き
れいな和菓子(伝統的なものや新しいもの)も多い。
日本酒は言わずもがなってことで・・・。
前日の雨と強風がおさまったので、兼六園に花見に出か
けた。兼六園への道すがら、金沢三文豪がそれぞれ椿の
花を持ってならんでいる姿を発見。(右から、徳田秋声
・泉鏡花・室生犀星)誰がプレゼントしたのだろうか。
月曜日の朝だったので、地元の花見客は少なかったが、
海外(中国・アメリカ等)の団体客を何組か見かけた。
海外からの団体は、金沢・白川郷・高山辺りをツアー
で廻っていそうだな。
夜のライトアップされた桜が、お堀の水面に映る姿も
なかなかのものだった。
三つの茶屋街(東茶屋街・西茶屋街・主計町茶屋街)
は既に見ていたので、今回は醤油で有名な大野町を
見学に行った。金沢市の「こまちなみ保存区域」に
指定されているところだったが、観光用の保存が進み
過ぎていなくて、個人的にはとても良い感じだった。
金沢で遊んだ後は富山でも花見、市街地を流れる松川
・磯部堤から遊覧船が出ている。
日本全国、地域ごとにいろいろな花見があるんだろうな。
23 August
妻有アート・トリエンナーレ2012
あまりに暑くて仕事にならないので、どうせ暑いのならいっそのこと・・・という訳で、「妻有アートトリエン
ナーレ」に行って思い切り汗をかいてきた。
スピード違反で捕まらないように関越を走って、熊谷・
十日町間は約2時間。
塩沢石打I.Cで一般道へと考えていたのだが、六日町I.C
まで行ってしまったので、T273<みどりの部屋プロジェ
クト>が最初の作品となった。
続いて越後妻有里山現代美術館「キナーレ」で昼食後、
T231<ボルタンスキーのNo Man's Land>、
T229<Rolling Cylinder>床屋のクルクル回るサイン
の中に入ったみたいで面白かった。
「キナーレ」では、これ以外にも、T233<土壌モノリス>
他、たくさんの作品をみることができた。
その後、小白倉地区の集落がなかなか良いらしいとい
うことで、途中 K082<LACHIKU>を、
川西エリア最北のK083<畦の花館>を見て、
小白倉の集落を見学したのだが「ここは、冬の雪の中で
見た方がきれいだよ!」なんて言われてしまって「ガクッ」。
十日町エリアに戻って、T112<バタフライ パビイオン>
ドミニク・ペローの2006年からある作品。「
もぐらの館」に廻ってT259<ブラック・ボックス>他
幾つかの展示作品を見て、復路(塩沢石打I.Cから関越)
のルートで行こうと、
みかんぐみのT253<下条茅葺きの塔>
T252<下条プロジェクト>へ、
近くのお店で「爽」というアイスクリームを買って
食べたら、懐かしい駄菓子のラムネ味だった。
117号線沿いにT275<からむしの部屋>
334号線で塩沢石打I.Cに向かう途中、D272、T154
(両方とも2012年の作品ではない)を経由、
T279<はさベッド>では蕎麦?畑(案内には、
田んぼの水面の上で揺れると書いてあったが)
の揺れる小屋で遊んで帰った。
真夏の一日外で遊んだ日は、ビールより冷たい水が旨かった。
08 June
ヒヨドリハウス-01
寝室の窓前、目と鼻の先でヒヨドリの子育てが始まった。2010年も同時期に卵を発見したが、2011年には何故か
ここでの子育ては無かった。3つの建物に囲まれた、
T字路型の空間にある「隠れ蓑」の木にヒヨドリハウス
は作られていてる。
(2012年作のヒヨドリハウス)
確かにここは幾つかの危険から距離を隔てた場所だ。
カラスに見つかり難く、見つかったとしてもカラスは
入り込み難い狭さだ。
そして、ヒヨドリハウスの下3メートルには隣地境界
のT字型のブロック塀があって、この塀の上は猫の散
歩道になっているのだが、猫のジャンプ力では届かな
い「隠れ蓑」の幹も細くて猫には登れない等々。
(2010年作のヒヨドリハウス)
「ヒヨドリ、なかなかやるなー」と思うのだが、ここか
ら先に問題がある。取りあえずの危険をギリギリで見切
っているため空間に余裕が無い。人間の住居でいえば庭
のようなスペース、町内とかコミュニティのような空間
が無いので、ヒナが巣立つ直前の僅かな時間に危機が集
中する。巣立ちの練習期間、羽毛が生えそろってヒヨド
リハウスから外の空間に少しの距離でも出始めた時があ
ぶない。2010年はこのタイミングで失敗しているので、
今から(まだ卵なのだが)気がかりだ。
(2010年作のヒヨドリハウス)
ヒヨドリハウスは相変わらずデザイン的にはファンクシ
ョナル・トラディションだが施工精度は前回より高い、
子育てのスタイルも何か工夫があるかも知れないので、
しばらく見守ることにしよう。